バレンタインのキセキ。





だけど、
どんなにドSでもやっぱり竜は優しかった。


散々あたし"で"遊んだ竜は、満足したのか、そのあとはあたしの行きたいところに付き添ってくれた。



お土産屋さんで、めちゃくちゃ可愛いくまのぬいぐるみを発見したあたしは、しばらくぬいぐるみの前に立ち止まっていた。


だいたい30cm程度のぬいぐるみ、ふわふわの触り心地、キャラメルブラウンの綺麗な色。可愛い顔。


パーフェクトだよ!


買いたいんだけど、
欲しいんだけど…
お金足りない!



2500円…。

1500円しか残ってないよ…


諦めるしかないのかな…。



すると、いきなり背後から聞こえてくる声。



「それ、欲しいのか?」

『うん、けどお金足りないから諦める』

「ふーん、」


そう、面白くなさそうに返事をした竜は値段を見た、瞬間に何を思ったのか、そのぬいぐるみを持ってレジへと向かいだした。




『ちょ、竜?』


大丈夫なのか、この男は。


ていうか竜、皆から注目浴びてる。



あたしも薄々気づいてたけど、
あのかっこよさに誰もが振り向く。