バレンタインのキセキ。





『………竜っ!』


「何?」


『何?じゃないし!あたし、真ん中がいいって言ったじゃん!』


「言ったっけ?」


『言ったよ!ちゃんと言ったもん!』


「へー、そうなんだー。…けど、1番前ってあんま乗れる機会ないからいいだろ?それに、さっき言った覚えとけよ、な?」


『うん、まあ、確かに…。じゃなくて!てか本当に、ム…』



"それでは安全バーのロックを全て確認したところで、楽しい絶叫の世界を堪能してください"



『えぇっ!?』


スタッフさんは大きな声でそう言うと、なにやら機械をいじりはじめた。



まさかの!?
まさかの出発!?

え?マジ出発!?
あたし1番前本当に嫌なんだけど!



プシューと静かに乗り物から音がでる。そしてそのままスピードをだし、ジェットコースター本体は動き出す。


ガガガガガガ…と鈍い音をたてながら斜めの角度で、徐々に加速させながら、最初のレールを登りつめようとする。




『いやっ!やだっ!竜!怖い!高い!嫌だ!』


もろ半泣き状態のあたし。


メイクは超強力のウォータープルーフのため、落ちたりはしない。