バレンタインのキセキ。





あたしは、そんな事を思いながらも渋々とスクバの中から財布を取り出し、100円を竜に手渡した。



「見てろよ?」

『うん』



挑発するかのような、上から目線の態度に、いらっとしながらもあたしは、ふてぶてしく返事をした。



まぢでとれんのかぁ?


もし失敗でもしたら、笑ってあげよう。

有り難く、笑ってあげよう。笑



竜はもう、そのUFOキャッチャーの前にいた。


チャリン、パチ、ウィーン、ウィーン、パチ、ボトッ…



へ?



「な?一発☆」



にかっと笑いながら、あたしに今とれた腕時計を差し出してきて、あたしはそれを受け取る。




え、あ??
今の6つの音のみで??


あぁ…、
さっき神とかウケる!!と爆笑していたあたしに頭突きをしたい…。




あたしの手の平には、ピンクの腕時計。


ピンクといっても、薄ピンクって感じ。

革製でこの時計は、ストーンが主役なのか、小さい白のストーンが鏤めてあり、時計の数字もストーン。

そして中央には丁度いいくらいの大きさの真っ赤なハート。

針の先にも、小さい赤のハートがついている。