バレンタインのキセキ。





部屋に戻るなり、何かいいたげな表情であたしを見る二人。


『な、何?どうしたの?ていうか、お母さんがいつもケーキとかありがとうだって』


「いえいえ♪…ちょっとさ、もういい加減聞いてもいい?」



ベッドに腰かけている実咲が笑顔で言った瞬間、突然真剣な表情に変わった。



何を聞かれるのかは、
簡単に予測できた。



「何で竜くんと気まずいの?」



ほら、きた。




いい加減、話そう。


そう思ってあたしは実咲と愛里菜にあの日の事を話した。






───────………


「そんな事があったんだ……」


愛里菜は驚きながらそう言ってきたけど、実咲は黙ったままだった。




『実咲…?』


「馬鹿真李奈」


『え?』



いきなり何をいいだすかと思えば、まさかの暴言。





「何でそんな大事な事すぐに言ってくれなかったの!あたしだけ、浬とうまくいって浮かれてて、その時真李奈は辛い思いしてて…っ」



ツーと一筋、実咲の頬に涙がつたる。