バレンタインのキセキ。





そう言った瞬間、その場が凍った気がした。







………あたし、今、何て言った?




"ごめん……わかんない"




でも、これが今のあたしに
ピッタリなのかもしれない。



だって本当にわかんない。




好きなんだけど…

不安が混じってゴチャゴチャに
なって、わかんなくなる。





好きっていう反面に
不安があって…



素直に伝えたいのに伝えられない。








さっきから無言の竜をチラッと見ると、






『―――ッ!』



すごく、哀しそうな顔。


今まで信じてきた、友達に裏切られた瞬間の、傷ついた表情。




なんだか泣きたくなってきた。



好きだからこそ、こんな顔みたら余計辛い。





素直になってればよかった。


素直に言えば、竜はこんな顔
しなかった。






あたし、馬鹿だ…。


竜を、好きな人を、傷つけた。










「…ハハッ、そうだよな、いきなりごめんな?」



『え?』




全然笑ってるとはいえない表情。


無理矢理つくってるような。