「嫌だって我が儘言った」
宏太先輩は水が入っているコップを掴みながら笑って言った。
「なんかカッコ悪いですね・・・」
素直に思ったことを言ってみると、先輩は声を出して笑い出した。
「お前、先輩に対して失礼だろ」
「だって、"嫌だ"とか子供っぽくて恥ずかしいじゃないですか」
「そうだな。・・・でも愛子を離さずいられるなら・・・子供っぽくても構わない」
「・・・」
なんでだろう・・・。
今さっきまでカッコ悪いと思ったのに、宏太先輩の目を見てみると、
本当に大切なことを分かっている目でカッコ良く見えた。
そして自分は、カッコ悪いと言ってた我が儘すら言えず、ただ自分の気持ちを隠して七海の元から去った自分が
すごいカッコ悪く感じた。
「なぁ、壱吾。確かに俺の行動はカッコ悪かったかもしれない。
でも1回のカッコ悪さで一生幸せでいられるって考えたら得じゃないか?」
「・・・」
「カッコ悪くてもいいから、ちゃんと自分の気持ちを伝えて、幸せを取り返せよ」
「・・・宏太先輩」
「まずは気持ちを伝えることだ」
「・・・はい」

