「夏歩っ」
「・・・正則」
「正則くん・・・」
「仕事が終わって夏歩たちが実家に行くって言ってたから迎えに来てみると、夏歩が大きい声出して怒ってたからビックリしたよ」
正則くんは苦笑いしてあたしたちに近づいて来た。
「夏歩・・・お母さんの肩から手を離して」
「・・・正則」
「お義母さん・・・お義父さんが亡くなってから、泣かなかった訳じゃないよ」
正則くんが言ったことにあたしと夏歩はビックリして体が固まった。
「なんで正則がそんなこと知ってんの?
それにお母さんは泣いたことないよ。
お母さんはお父さんが死んでも悲しくなかったんだよ・・・」
夏歩の言葉が心に突き刺さる。
「それは違う。お義母さんは"泣いたことがない"んじゃない。
"夏歩の前では"泣かなかったんだ」
「正則くん・・・なんでその事を・・・」
あたしが隠れて泣いてることを正則くんにバレてるとは思ってもみなかった。
「お義母さんがいつも隠れて泣いていることは知ってました」
「・・・どうして?」
完璧に隠せていると思ってた。

