宏太の日記はこれで終わっていた。
「お父さんね、結婚式の日にお母さんがいない時に、あたしに言ったの。"愛子みたいな人に愛される人になりなさい"って・・・」
「・・・夏歩」
「いきなり入って来てごめんね。宏一寝ちゃったし・・・あたし、お母さんとお父さんのこと話したかったんだ」
夏歩はドアの近くからあたしの横に移動した。
「夏歩はこの日記もうみたんでしょ?」
「・・・うん」
「・・・そっか」
「最後に書かれていた日の日記見た瞬間、我慢してたのに泣いちゃった」
「あれは宏太から夏歩へのラブレターだね」
「・・うん。それもあんなに、あたしの成長を細かく書いていてくれてたなんて・・・あたしを大切にしてくれてたんだね」
夏歩の目には涙が溜まっていた。
「夏歩はあたしたちの娘だもの。大切に決まってるわ」
「・・・お父さん・・なんで死んじゃったんだろうね」
お父さんに会いたいよと呟くと夏歩は泣き崩れる様に涙を流しながら顔を手で覆った。

