「・・・夏歩」
「分かった。宏一とあっち行ってるね」
さすが我が娘。
1人でこの日記を読みたいと思ったら、夏歩は名前を呼ばれただけであたしの気持ちを分かってくれた。
1人になって、ページをめくった。
《20*#年 3月9日 晴れ
今日はやっと夢が叶った。
今日、愛子が『空 愛子』になった。俺の妻になった。
この日記を書いている今も嬉しくて口がニヤける。
愛子のウェディングドレスは、晴子より綺麗だった。
そんな愛子が泣きながら『宏太の妻になれて幸せ』と言った瞬間、
俺も幸せすぎて泣きそうになった。
これから、苦しいこともあるかもしれない。
辛いこともあるかもしれない。
でも愛子が隣にいてくれたら頑張れる。
愛子、これからの人生よろしくな。》
知らなかった・・・。
《20*◎年 5月15日 雨
今日はとても嬉しい事があった。
愛子と俺の子どもができた。
2ヶ月だそうだ。
嬉しすぎて愛子の前で泣いてしまった。
これからは愛子だけじゃない。
愛子の腹ん中にいる赤ん坊も守らないといけない。
守れる人が増える喜びを知れた・・・。
愛子には何度も『ありがとう』って言っても足りないな。》
こんなこと書いてたなんて・・・。
こんなこと思っていたなんて・・・。

