あたしは黙って立ち上がった。



そして…うしろへと歩いていき、飾られていた真っ黒な自分の絵日記をすぐに外してグシャグシャに丸めてごみ箱へと投げ入れた。





『おはよ!』




と、次の瞬間―――


聞こえてきたのは登校してきたばかりの圭の声。




あたしは圭の姿を見た途端、思わず泣きそうになっていた。





『どした?静』



教室のうしろで立ち尽くしていたあたしに気付いて、圭がそう言いながら近付いてくる。





『なんでもないよ、おはよ!』




本当は圭に泣きつきたかった。



でも…そんな悔しい気持ちを抑えて…あたしは明るくそう言ったんだ。





圭に見られなくてよかった。



あんな絵日記…


圭にだけは…絶対に見られたくなかったから。