だいたい旅行に来ると、お母さん達は楽しそうに食事しながら夜遅くまでみんなで晩酌したりしてる。




まぁ毎回のことだからもう慣れちゃってるんだけど。






『ちょっと外行こうぜ』



『はっ!?』






『なぁ〜!ちょっと散歩してきていい?すぐ戻ってくるから』






行く―――


あたしはそんな返事もしてないのに、圭はそう言ってお母さん達に声をかけた。





ダメに決まってんじゃん。


子供だけで知らない場所を散歩なんて。








『いいよ〜行っておいで』


『あんまり遅くなるなよ』







はぁぁぁっ?





想像していた言葉とは全然違った返事。



昨年までは子供だけで行動しちゃダメだとか、散々言ってた気がするけど。






『まぁお前達ももう五年生だしな』





圭のお父さんがそう言ってあたしを見ながら微笑む。





いえいえ。



もう、じゃなくて。



親なら‘まだ’五年生とか思うもんなんじゃないの?






結局そんな能天気な親達にちょっと呆れながらも、あたしは部屋を出ていく圭の後を追うようについて行った。