『静菜』
でも、おじいちゃんの声がすると―――
みんなが一斉にあたしはどこにいるのかとキョロキョロしだして。
一番うしろにいたあたしに気付くと、叔父さんや伯母さん達は、あたしを前に行かせるために、道をあけてくれた。
『すいません……』
あたしは呟くようにそう言うと、おじいちゃん達の元へ、ゆっくりと歩いていった。
『これでお骨を拾うのよ』
おばあちゃんはそう言って、あたしに大きな箸を渡して。
『二人でね、骨壷の中にお骨を一緒に掴んで入れるの』
『二人で?』
『そう。お骨を二つの箸で一緒に持つのにも意味があるみたいでね。あの世へ繋がる橋を掛ける、だったかな?そんな言い伝えがあるみたいなの』
あの世へ…
橋を………
知らなかったことがたくさんあった。
そして、知ると…ひとつ大人へと近付いた気がした。
生きていたら……
これから先も。
いつかはまた死というものに直面する時がくると思う。
でもきっと……
それを乗り越えて。
人は少しずつ、大きくなっていくのかもしれない。



