お母さんがあたしに与えてくれた自由というもの。




だけど……





その自由は、この時のあたしにはあまりにも苦しくて。






自分だけが幸せになるなんてこと…



考えられなかったんだと思う。








『後ろ、人つかえてるから…中、入るわ』






圭はそう言うと、受付を済ませて会場へと入っていく。









あの日……




別れ際に。



『俺、なんか怖いんだ』




そう言って、あたしを強く強くギュッと抱きしめた圭。