『明日の告別式も来るからさ』
『うん……ありがとう』
じゃあね―――
そう言うと、凜は静かに帰っていく。
そしてそんな凜と、入れ違うようなタイミングで、会館の入口にはお父さんの姿が見えた。
昨夜遅くに…あたしが連絡した時、お母さんが…亡くなってしまったことを伝えると、お父さんは電話の向こう側で…
堪え切れずに泣き声をあげながら泣いていた。
『静菜……』
だからこっちに向かって歩いてくるお父さんの目は腫れぼったくなっていて。
きっと、ずっと泣いてたんだろうな…と思ったぐらい、赤くなっていた。
『ありがとう、来てくれて』
『お前は…大丈夫か?』
『うん、大丈夫だよ』
そんな短いやり取りを終えると、あたしはすぐに通夜会場へと戻り、親族席にも急いで戻った。



