静菜へ――――





ごめんね静菜。
昨日は叩いたりして。
痛かっただろうね。
本当にごめんなさい。

親の勝手で離婚して。一方的に静菜を引き取って。
静菜から父親を奪って。
分かってたのに…大好きだった圭介とも無理矢理引き離してしまってたよね。

お母さんが病気になってからは、いつもお母さんの顔色を伺ってる静菜を見るのが自分でもすごく辛かったんだ。
だけどどうしようもなくて。
気付いたら静菜のこと、いつもいつも縛りつけてしまってた。

最低な母親だったよね。
ほんと、情けないよね。

でもほんとはね、お母さんも圭介のこと、大好きだよ。
静菜が大好きな人だもん、お母さんも大好きに決まってるでしょ?

だってお母さんも、お父さんのこと、あんなことがあったのに…
やっぱりキライにはなれなかったから。
だから離れてもずっと…静菜が圭介を想ってた気持ちは、お母さんにも少しぐらいは分かるんだ。

でもね、お母さんは心が弱すぎるみたい。
全てをうまく乗り越えられるほど…器用な人間にはなれなかった。
好きなのに…お父さんを許せなくて。好きだから…静菜を許せなかったんだ。

だからね、お母さんがいなくなったら。
静菜は自由になれるから。
だからお母さんがいなくなったら…静菜は好きなように生きていきな。

お母さんはずっと見守ってるから。
ずっと、静菜の幸せを、願ってるからね。





お母さんより―――――