病院にはあっという間に着いて。
『ありがとう!』
あたしがそう言って車からおりると、お父さんは中から手を振って病院へと入っていくあたしのことを見送っていた。
お母さん……
大丈夫……だよね?
何故かあたしは、お母さんは大丈夫なような気がしてたんだ。
手首を切ったぐらいでは…簡単には死なない、そう思っていたからだと思う。
病院に入ってふと目に止まった時計を見ると、もう時刻は9時ちょうどになっていた。
面会時間もギリギリの時間らしく、院内には面会時間の終了のアナウンスが流れている。
あたしはお母さんがいたはずの手術室まで急いで向かうと、点灯していた手術室のランプは消えていて。
近くを通り掛かった看護師さんに、急いで声をかけた。
『あのっ!今日ここで手術した、結木貴子さんってどこの病室に運ばれたんですか?』



