『じゃあ送っていくよ』




それからしばらくして……帰ると言ったあたしに、お父さんはそう言って車のキーを手にしていた。





『いいよ、一人で帰れるし』





会えるなら…帰りに圭に会いたかったから。


あたしはお父さんにそう言って断った。






『ダメだ。もう暗いし最近変なヤツ多いだろ?何かあったら大変だしな』





でもお父さんはそう言って、あたしを無理矢理車に乗せて。



車は走り出していく。






『じゃあさ、○○病院分かる?あそこまで送ってもらえる?』


『何で病院なんだ?誰か入院してるのか?』





頭に浮かぶのは……


真っ赤な血にまみれた…お母さんの姿。





『あ…うん。おじいちゃんがね、ちょっと体調悪くて』




でもお父さんにはそんなこと言えなくて…


気付けばあたしはそう口にしていた。





『大丈夫なのか?』


『うん、大丈夫は大丈夫みたいだよ。ごめんね、送ってもらっちゃって』


『いや、お父さんは全然構わないけど』