『静菜か?』
そして次の瞬間、そんな声が聞こえてきて。
ふとその声の先に視線を向けると……
少し老けたような気がするお父さんがそこに立っていた。
『お父さん……』
『静ちゃんね、知らなかったみたいだよ。ここにずっと住んでたこと』
『そうか……』
おばさんの言葉を聞いたお父さんは、そう言うと黙ったたまま視線をおとした。
『じゃあ、私、そろそろ行かなきゃ。またね、静ちゃん』
おばさんはそう言って、自転車にまたがると、すぐにどこかへ向かっていった。
『久しぶりだね』
『あぁ……』
お父さんはそう言うと、あたしをジッと見て。
『しばらく見ない間に大きくなったな』
そう言って目を細めて笑った。



