『あの……おばさんは、あたしのお父さんのこと、少しでも好きだったんですか?』
『え?なっ……』
『あの日……白馬で。お父さんのこと、少しでも好きだと思ったんですか?』
自分でもビックリした。
何でそんなこと、わざわざ今聞いたんだろうって。
『静ちゃん……もしかしてあの日のこと知ってるの?』
『はい』
『そう……。でもね、私も静ちゃんのお父さんもね、本当に…そんな気持ちはなかったの。言い訳するつもりはないけど…本当に飲み過ぎて酔っ払ってしまってて…』
おばさんはそう言うと、申し訳ない顔をしながらあたしにごめんね、と謝った。
『静ちゃんのお父さんはね、本当に貴ちゃんのことが好きなんだよ。だからね、別れることになった時に家を売って田舎に帰ろうとしたらしいんだけど、どうしても諦めきれなくて一人で家に残ったみたい』
おばさんはそう言うと、慎のお母さんから聞いた話をあたしにいろいろ話してくれた。



