『静ちゃん?』
と、その時―――
懐かしい声に振り返ると、そこにはおばさん……圭のお母さんが立っていた。
『やっぱり静ちゃんだ』
おばさんはそう言うと、ゆっくりとあたしの元へと歩いてくる。
『あ…おばさん……久しぶりです』
『すごく大人っぽくなってたから一瞬分からなかったわ。貴ちゃんに似て美人さんになったね』
『あぁ…いえ、そんなことないです』
昔は気軽に話せていたけど。
どうしてもぎこちない話し方になってしまう。
『貴ちゃんは元気?』
おばさんは少し聞きにくそうに、あたしにそう聞いた。
『あぁ……はい』
まさか今日手首を切って今手術中だなんてこと、口が裂けても言えなかった。
『そう……良かった……』
そうだよね。
自分達のせいであたし達家族は壊れたんだもん。
元気だって聞いたら…ホッとするよね。
『あの……あたしのお父さん、今もここに住んでるんですか?』
『えっ?あぁ…うん。住んでるよ』
『一人でですか?』
『うん、そうみたいよ』
やっぱりお父さんはここに住んでいたらしくて。
なんだかあたしは不思議と嬉しくなった。



