そして歩き続けて。
あたしは懐かしい町へと辿り着いた。
あたし達が育った、大好きなこの町に。
お母さんには来てはいけない、そう言われていたから。
あの日、圭のお父さんにあってからは…ずっと来ていなかった。
一軒家が並ぶ住宅街。
あたし達はここで育って。
ここで大きくなったんだ。
懐かしい。
あたしの家。
えっ?
どうして?
ふと表札を見ると、あたし達が住んでいた家には以前と変わらない神谷の表札が飾られていた。
なんで?
だってお父さんは……
家を売って田舎に帰ったんじゃ……
『お父さんはね、家も売って群馬の実家に帰ったのよ。だからもう会うことはないわ』
お母さん、そう言ってたよね?



