携帯があったらなぁ……




学校からの帰り道、一人でトボトボと歩きながら、液晶画面が割れて壊れてしまった携帯をカバンから取り出した。






携帯があれば……


話せなくても。凜にメールを送ることができるのに。





そうだ。



直してもらえばいいんだ。





いいことを思い付いたあたしは、壊れた携帯を持って、この携帯を買ったショップへとそのまま向かった。





でも……―――




『この携帯のご契約者様本人でないと修理や機種変更の受付はお受けできないんです。名義は結木貴子さん、お母さんなのかな?だから、お母さんと一緒に来てもらえるとすぐにできますよ』





携帯ショップのお姉さんは、作られた笑顔であたしにそう言った。






自分はまだ子供なんだなと、こういう時、改めて実感する。




自分では何もできなくて。




親がいないと……

大人がいないと何もできない。




情けないけど……


これが現実なんだと思い知らされた。