『あっ!やっぱり!あの時のカップル、結木さんだったんじゃーん。このイケメン君と一緒だったもんね。にしても超ラブラブじゃん♪いいなーっ』
あたし達の凍り付く空気に気付いていない佐倉さんは、そう言ってあたしを冷やかしてくる。
『凜……あのね…』
『何?静菜と話すことなんて何もないから!』
『違うの、お願い、話だけでいいから聞い』
『何?私の好きなに人に近付いて…付き合っちゃいましたって?』
一気に教室内がザワザワしていく。
『どういうこと?』
『吉田さんの好きな人なの?』
『えっ、それってヤバくない?』
『取っちゃったとか?』
『サイッテー』
『可哀相だよ凜ちゃんが』
聞こえてくる言葉は…
凜を擁護する声と。
あたしを批判する声。
でも、あたしはそんな周りの声なんてどうだってよかった。
ただ……
凜の気持ちを考えると…
心が痛くなっていった。