コンコン……
しばらくすると、部屋のドアがノックされ、あたしの体がビクッと反応した。
『ちょっと入るよ』
その声はおばあちゃんの声で。
そっと開けられたドアの向こうには、おばあちゃんの姿があった。
『薬飲ませたし少し落ち着いたみたいだから今寝たよ』
シーンとする部屋の中。
長い沈黙が、おばあちゃんとあたしの間に流れる。
『あのね、静菜も分かってるとは思うけど……お母さんの病気、良くなってきてたでしょ?』
『うん……』
『それはね、何事もなく穏やかに過ごせてたからだと思うの』
『うん……』
『だからね、何があったのかは知らないけど。今日みたいにあの子を興奮させたり泣かせるようなことはもうしないでくれるかな?ただの親子ゲンカでも…あの子の心にはすごく負担になってしまうから』
おばあちゃんの言葉に……
我慢していた涙が一気に溢れてきた。
『ごめ…………っ……』
あたしは―――
もう、どうしていいのか分からなかった。
圭を好きでいることが……
お母さんを苦しめる。
やっぱりお母さんの心を……
壊してしまうんだね。



