『静、見たい映画ある?』





二人で手を繋いで。


並んで歩いてると、圭があたしにそう聞いた。



でも、特に見たいと思っていたものはなかったから、それは圭に任せるよ――と答えた。





『マジ?じゃあさ、俺、すっげー見たい映画があるんだ』





圭は嬉しそうな顔で、あたしにその見たい映画のストーリー的な軽い流れを説明していく。




邦画の、いわゆる純愛ラブストーリーらしい。



圭がラブストーリー?



そう思うとちょっとおかしかったけど、なんだかあたし達が大人になったような気がして…

嬉しくもなった。






『でもさ、俺らが初めて一緒に見た映画ってさ』


『ドラえもん、だよね』


『そうそう!しかもちょっと泣けたんだよなぁ』





ふと昔を思い出す。



お母さん達に連れていってもらった。



あの日のこと。