『結木さんおはよー!』


『あ、おはよー!』





学校に着いて教室に足を踏み入れると、クラスメートの女の子と軽い挨拶を交わした。





『静菜……』




と同時に、あたしにそう言って駆け寄ってきたのは凜だった。





『おはよー、凜!』





明るくそう言ったあたしの顔を見た凜は、何故か泣きそうで…。


いや、すでに涙がポロポロとこぼれだしていた。





あ……――



そうだった。







肝心なことを忘れていた。




凜が圭に……フラれていたことを。






『どっ、どうしたの?』






分かっているのに。


何も知らないような顔をして。




あたしは…凜にそんな言葉をかけていた。