『静』

『圭』

『あゆ姉』

『慎』




あたし達は、お互いそう呼び合って。



ここで一緒に大きくなってきた。







『静!おはよー』




家を出てすぐ、うしろからあゆ姉の声がした。




『あっ、おはよー!』




振り返ったあたしは、あゆ姉の顔を見て笑顔でそう返事をした。






『何?連絡帳?』


『あ、うん。圭が熱出したらしくて。朝おばさんが持ってきたんだ』


『へぇーっ。圭も熱出すことあるんだ』


『そうだねっ、圭が熱なんてビックリだよ』





あゆ姉とあたしは、そう言って笑い合うと、学校までの道のりを二人で並んで歩いていった。



『先生〜、これ』




小学四年生の冬――――。



あたしは朝一番に、そうやって圭の連絡帳を職員室にいる圭の担任の先生まで届けにいった。





あたしが通う小学校は、病気や何かで休むことになった時、理由を書いた連絡帳を近くに住む同級生に届けてもらうことになっていて。



学校までその連絡帳を届けると、その連絡帳に先生が明日の連絡事項を記入して、その連絡帳をまた本人まで届けることになっていた。





だから、圭と同じ学年で、家が近かったあたし達は、小学校に入学してからずっと…



圭が休む時、あたしが休む時、


それぞれお互いが、家庭から学校への連絡帳の橋渡しをしてたんだ。