『おはよーっ♪もうっ、ずっと待ってたんだからぁ』
教室に足を踏み入れてすぐ、登校してきたあたしに気付いた凜は、笑顔でそう言って駆け寄ってきた。
『うん……おはよ』
『でさぁ、誰なのー?気になって眠れなかったじゃん』
凜はそう言うと、可愛いく頬を膨らませた。
『ねぇ結木さーん、昨日S駅のゲーセンで見たよぉ!デートしてたでしょー』
と、その時……――
クラスメートの佐倉さんが、そう言いながら近付いてきた。
えっ?
見られてたの?
『えっ?あたし昨日はずっと家にいたよー?人違いじゃない?』
苦し紛れかもしれないけど。
その場を逃れるためには、そんな言葉しか浮かんでこなかった。
『えっ?本当ー?超そっくりだったよ。しかも一緒にいた人超イケメン君だったし』
『そうなんだー?でも本当あたしずっと家にいたからさ。多分そっくりさんだね』
『うん、超似てたもん!あー、こんなことなら写メっとけば良かったぁ!』
佐倉さんはそう言って笑っていたけど。
あたしはうまく笑えているのか不安になった。
写メなんて撮られてたら…大変だよ。



