『おいっ!』 帰り道の途中、凜と別れて一人になった時…… 後ろから声が聞こえてきた。 振り返らなくても分かるその声は… 大好きな圭の声だった。 でも… 分かっているのに…立ち止まれなくて… 振り返れなくて。 圭に腕を掴まれるまで…あたしは歩き続けてた。 『ちょっと待てよ。聞こえてんだろ?』 『…痛いよ……離して』 『あっ、ご、ごめん』 圭はそう言ってあたしの腕を掴んでいた手をそっと離した。