『ねぇ静菜聞いてるー?』
『えっ?あ…ごめん、聞こえてなかった…かも』
『もうっ…。だからね、昨日アドレス教えてもらったんだ』
帰り道、あたしの隣で凜はとびっきりの笑顔を見せた。
『あ……アドレス?さっきの大倉くんの?』
『うんっ♪ダメもとで聞いてみたらね、教えてくれてさ』
『そうなんだ……っていうか凜の好きな人って…』
『そう!さっきの大倉くん。だからまずはメールしてみたいんだけど何送っていいか分かんなくて。静菜に一緒に考えてもらおうと思ってさ』
なんであたしが……――
そんなもの考えなきゃいけないの?
心の中ではそう思っていたのに。
そんなこと、口にできるはずもなくて。