『えーっ……』
『あっ、その顔は!いるんだぁ!?』
『えーっ…まぁ…うん、いるけどさ』
『えっ?誰!?クラスの中にいる?』
『いるわけないじゃーん!うちの中学じゃないよ、塾が同じな、別の中学の子』
『そうなんだぁ』
初めて聞いた、凜の好きな人の話。
でも、照れ臭そうに笑う凜を見ていると、なんだか距離が縮まったような気がしてうれしかった。
『静菜は?本当にいないのー?』
凜は恥ずかしそうにあたしに聞いた。
『大好きな人がいたんだけどね……好きでいられなくなっちゃったんだ』
『なにそれ?どうして?』
『えーっ、いろいろあったんだよ、いろいろね』
『そうなんだぁ……でもさ、また好きな人ができたら教えてね!絶対だよ!』
『はいはいっ』
凜にそんな返事をしながらも…
新しく好きな人が出来るはずはないって、そう思った。
だってあたしはやっぱり圭のことが忘れられなくて。
きっとこれからも…
ずっと忘れられそうにないなって、今ふとそう感じたから。