この辺りの三つの小学校に通うほとんどの生徒がこの中学へと進学してきて。
元々小学校には友達という友達もいなかったから、あたしが話をするような子は全然いなかった。
凜は隣の小学校出身で。
友達もすごく多いっぽくて。
なんか人気者って感じの女の子。
あたしとは全然違う。
そんな女の子だった。
でも凜は、あまり反応もしないあたしに毎日のように話し掛けてきてくれて。
気付けばしーちゃんって呼んでいたはずの呼び方も、何故か静菜に変わっていた。
『ねぇ、いつから静菜になったの?』
だからなんかおかしくって。
あたしは思わず聞いたんだ。
『えっ、いつからでもいいじゃん?ってか初めて静菜の笑った顔見れたー♪超ウレシー♪』
凜はそう言うと、目尻を下げたままニコニコと笑った。
無邪気で。
可愛くて。
裏表のなさそうな凜は…
あたしが久しぶりに心を開けるような、そんな存在になって。
静菜と呼んでくれていた遥にも…なんだか久しぶりに会いたくなった。



