『ねぇ、お母さんはあたしが圭と会うかもしれないことが心配なんでしょ?そんなに圭のことが嫌なの?』
『嫌とか…そういうんじゃないよ。圭介は可愛いし……昔っからあんた達が仲良かったのは分かってるけど…』
『じゃあどうして?圭はダメとか一人であっちに遊びに行っちゃダメとか言うの?』
一瞬、シーンとして。
お母さんは少し黙りこんで。
静かに口を開いた。
『あんたが圭介と関わってるとね、どうしてもあの時のことを思い出して。早く全部忘れたいのにずっと思い出しちゃうんだ』
あの時のこと?
白馬での…出来事だよね…
『静菜が圭介に関わり続けると、あの家族ともずっと関わり続けなきゃなんないでしょ?』
『…うん……』
『うちは離婚までしてこんなことになったのに。あそこは普通に何もなかったかのように元通りで。だから絶対許せないの。許せない…』