『連絡帳、ちゃんと忘れずに渡すんだよ』
お母さんはそう言うと、玄関先まであたしを見送る。
『いってきまーす』
ゆるい返事をしながらあたしは家を出た。
圭とあたしは、一軒家が並ぶ住宅街に住む、いわゆる幼なじみみたいな関係で。
さっきお母さんが奈美ちゃんと言っていたのは圭のお母さんで、そんな圭達家族はあたしの家の二軒隣の家に住んでいた。
それから隣に住む一歳年上のあゆ姉ちゃん。
向かい側の家に住む一歳年下の慎太郎は、物心がついた頃には仲の良かった母親同士のせいもあってか、小さな頃からいつも一緒に遊ぶような仲だった。