『……たしの家はおじいちゃんの家じゃない…』
『え?』
あたしの言葉に、前を歩くお母さんの足が止まる。
『あたしの家はおじいちゃんの家なんかじゃない!』
あたしの家は…あの家だけだよ。
三人で暮らしてた…あの家だけなんだ。
『静菜?もう五年生なんだから分かるでしょ?お父さんはお母さんにヒドイことをしたの。だからお別れすることになったんだよ』
『でもあたしには関係ないじゃん!』
『何で?どうして静菜までお母さんの気持ち…分かってくれないの?』
『分かるわけないでしょ!?分かりたくなんかないよ!』
『静……っ……』
分かってるんだ。
こんなこと…お母さんに言っちゃいけないって。
お母さんだって傷付いてるんだって。
でも……
行き場のないこの気持ちを…どうすればいいのか分からなかった。