大人みたいに携帯を持っていたら。 すぐにでも連絡できたのかもしれないけど。 あたし達はまだ子供で。 そんなものなくて。 だから会いに来るしかなかった。 『ふぅーっ…』 切れた息を整えるように、深呼吸を何度もしながら、あたしは圭の家の前までゆっくりと歩いていった。 そして、インターホンのボタンをそっと押した。 『はい』 応答してくれたのは圭のお父さんの声で。 『静菜です…圭、いますか?』 あたしがそう聞くと、何も返答はないままガチャっとインターホンの通信を切られてしまった。