『ちょっと待てよ。今日はちゃんと話をするために来たんだ』
『分かってるわよ。ちゃんとサインして持って来てくれたわよね?』
お父さんとお母さんのそんな空気に、気まずそうなおばあちゃんはリビングから席を外した。
おじいちゃんは町内会の会合で、この時はいなくて。
だから部屋の中にはお父さんとお母さんと…あたしの三人だけになった。
『それはしてないし出来ない。あれは俺が全て悪かったけど完全な過ちで……それに別に何かあったわけじゃないだろ?』
『あったじゃない!』
『でも一線を越えたとかそういう話じゃないだろ?』
『一線とかそういう問題じゃないでしょ?抱きしめ合ってキスして…普通なら考えられないようなことしてたじゃない!』
この人達は…
あたしの何なの?
あたしの前で。
自分達の子供の前で。
一線がどうとかキスがどうとか。
あたしはもう何も分からない子供じゃないんだよ?



