『静!静!起きなさい』
ん…―――?
まだ暗い部屋の中。
お母さんの慌てた声に、まだ眠い目をゆっくりと開けたあたしは、寝ぼけながらダルい体を起こした。
『なにぃ?どうしたの?』
『帰るから荷物まとめなさい』
『えっ?何で?』
『いいから早くまとめなさい!』
訳が分からず動かないあたしに、お母さんは強い口調であたしに荷物をまとめるように急かした。
『ちょっと待ってくれ貴子…とりあえず話をしよう』
『話すことなんて何もないわよ!』
『俺が悪かった…だからちょっと冷静になってくれ』
『やめて!触らないで!』
目の前でモメているお父さんとお母さんのそんな声に、隣で眠っていた圭が目を覚ましてしまっていた。
『何があったの?』
『わかんない…』
そしてあたし達は、そんな二人の姿をジッと見つめるしかなかった。



