『お前さぁー』




圭はそう言いながら、ゆっくりとあたしの目の前まで歩いてくる。





『俺、マジでヘコんでたんだぞ』


『えっ?』


『だって俺とお揃いが嫌だとか訳わかんねーこと聞かされてさ、キーホルダーはほんとに捨てられてたし』


『ごめん…』


『でも…よかった』






圭はそう言うと―――



制服のズボンのポケットから、何かをそっと取り出すと、それを握りしめたままの拳を目の前に差し出してきた。





『なに?』


『いいから手出せよ』






そして―――



開いたあたしの手の平に、優しくそれを置いてくれたんだ。