『お前…最低だな。あゆ姉から貰った大事なもんだろ?』
『……』
『そんなに嫌だったなら付けないで家に置いときゃあよかったじゃねーか!どんな理由にせよあゆ姉に貰ったもの捨てるなんて…静がそんなやつだとは思わなかったよ…』
圭はそう言うと、すぐに背中を向けて駆け足で教室から出て行った。
『け………』
圭!って。
大声で呼び止めたかった。
追いかけて…
違うんだよ、
捨てたくて捨てたんじゃない、
本当に大事な大事な宝物だったんだよ
そう言ってちゃんと謝りたかった。
でも、圭って呼ぶことができなくて。
追いかけることも…
誤解をとくことも…
その時のあたしにはできなかったんだ。



