あたしは背負っていたランドセルをゆっくりとおろすと、側面に付けていたあゆ姉に貰ったペンギンのキーホルダーを外した。





『本当に約束してくれるんだよね?』


『なにが?』


『呼び方を変えて…これを捨てたら…もう遥には何もしないって』


『するする!』


『本当に本当?』


『しつこいっつーの』





あたしは―――


岩本さんのその言葉を聞くと、黙って教室へと入り、後ろ側にある大きなごみ箱の中に、大切な宝物だったお揃いのキーホルダーをそっと入れた―――





『静菜っ…それ…大事な』


ロッカーの前にいた遥がその光景に気付いてあたしに駆け寄ってきた。



『いいの。これでもういいんだ。これでもう大丈夫だから。あたしのせいで嫌な思いをさせてしまって…本当にごめんね…』


『静菜…』


『でももう大丈夫だから。これで岩本さん達は嫌がらせやめてくれるって約束してくれたし』




あたしは笑顔で…遥にそう言った。