GODDESS

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聞き慣れた声音とともに、ふわりと香ったあたしと同じシャンプーの香り

ぽたぽたと首筋にあたる雫に、彼の存在が近くにあることを感じて、


「泣いてるの?」


そう聞いてきた彼に、顔を俯けたまま首を振った。


「寒くない?」


問いかけないで
今、口を開いたら涙が堪えられないから


「風邪ひくよ」


彼は優しく囁くと、あたしの髪をタオルで拭きはじめた。

思わぬ展開に身体を震わせたが、すぐにその行為に心地好さを覚えて、

いつの間にか彼に、タオルごと抱きしめられていた。


「泣きなよ。泣かないと壊れちゃうよ。」


耳を掠めた彼の吐息に、
背中から服越しに伝わる彼のぬくもりに、

彼の存在すべてに
求めていたぬくもりを感じて…


「……っ…ふ」

「そう…俺がいるから…」


堪えていた涙が、とめどなく溢れ出した。

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