GODDESS

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『ハズレ。ボクがすきなのはちぇりーだよ。』


瞼をあげれば、頬を膨らましたあーくん。


『ち、チェリーもさくらんぼも同じじゃんっ』

『一緒じゃないもん。ボクは“ちぇりー”が大好きなんだからねっ!』


そう言って、走り出したあーくんを慌てて追った。


『もうっ!ちぇりーっ!遅いっ!』


あーくんを追いかけた先には、目を吊り上げたお母さんがいた。


『チェリーじゃないっ!』

『何言ってんの。“ちえり”って言ったわよ。』


“ちえり”?

何かひっかかるあたしを余所にお母さんは続けた。


『そう言えば、さっきね、葵にちえりの名前は“チェリー”からとったのよって言ったのね。そしたらね、ボクどっちも大好きだって!可愛いわよね~』


そんなお母さんの言葉にあたしの顔は真っ赤になった。

あたしたちは名前を使ってお互いに告白していたのだ。

そして、お互いに何となくぎこちなく残りの時を過ごして、


『またね、あーくんっ!』


せめて、笑顔で別れたくて明るくそう言った。

だけど、あーくんはムスッとした表情のままで…


『葵っ!ちえりにバイバイは?』


あまりの態度にあーくんママもあーくんに言った。


素直に好きって言えば良かったな。
ややこしいことしちゃったよ…


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