GODDESS

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「ねぇ、ちーちゃん。あの約束、覚えてる?」


ベッドの中からバスルームに移動したあたしたち。

あーくんの背中に持たれて、湯舟に浮かぶ泡で遊んでいると、あーくんはそんなことを聞いてきた。


「約束?」

「うん。…覚えてない?」


あたしの顔に顎をのせ、切なげに聞いてくる。


約束…あーくんとした…


「うーん、思い出せないな…」


嘘、
本当はあーくんって気づいた時に全部思い出してる。

でもね、
からかっても良いでしょう?


昔みたいに…


「約束とかしたっけ?」

「した。」


あれは小学6年の夏にした引っ越し当日のことだった。

あたしたちは、最後の思い出にと近くの花畑に行った。


夏の盛りだけあって、たくさんの向日葵が空を仰いでいて…

自分の身長より遥かに高いそれらの間をあたしたちは手を繋いで歩いていた。


『ねぇ、あーくん。“ひまわり”の漢字ってどう書くか知ってる?』

『ひまわり?』

『そ、ひまわり。3つの漢字で書くんだけど、3つ目は“あおい”って書くんだよ。』

『ボクと同じ?』

『同じ。あたしのだーい好きな花の名前と。』


あたしはしゃがんであーくんを抱きしめた。

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