GODDESS

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「昔よくさ、誕生会一緒にしたよね。」


昔を懐かしむように、呟く。
瞳を閉じれば、あの頃の光景が目に浮かぶ。


そう言えば、


「おじさんとおばさん、元気?」


何気なく聞いた一言だった。

あたしの中では、元気だよってあーくんが返してくれるはずだった。

けれど、


「…あーくん?」


あーくんはあたしを抱きしめる腕に力を込めて、あたしの肩に顔を埋めただけで…


「…何かあったの?」


あたしは彼の背中に腕を回して、彼にしてもらったようにぬくもりを与える。


『…ねぇ、慰めて?』
冷たい瞳をしてそう言ったあーくん。

あの寒空の下で何を思っていたの?


「あーくん…」


何も話さないあーくん。
その肩はただ小刻みに震えていて…


あたしに何ができる?


「あーくん…」


あーくんの両親の間で何かあって、
それがあーくんをこんなにも苦しめている。


あんな寒空の下で
誰かのぬくもりを欲するまでに…

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