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寒さが身に染みて、暖房機具が放せなくなる12月

あたし 里崎ちえりは顔なじみの居酒屋で23歳の誕生日を迎えていた。


「おっちゃーん!もう一本っ!」

「ちえっちゃん、飲みすぎだよ。」


そう言いながらもおっちゃんは熱燗をくれるものだから、ついつい飲みすぎてしまう。

そうして、ベロンベロンになって家に帰るのが、最近のあたしの日課となっていた。


「おっちゃー、ご馳走しゃまでしたー」


今日もいつものように飲み干すと会計を済ませた。


「ちえっちゃん、気をつけるんやぞ!」

「へーいっ」


おっちゃんに手を振って、気持ち良く外に出る。


「わあ!雪降ってるじゃん!」


12月の寒気にあてられるかと思ったが、予想以上にお酒の力は強く、

外の寒さが心地好いくらいに思えた。


誕生日に雪とかいつぶりだろ…


思わぬ出迎えにあたしの心も高揚して、
お酒のせいもあってどうしようもなくはしゃぎたくなる。

けれど、


「はぁ―…」


あたしにはそんな相手はいない。

同性にも
異性にも―…

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