『ごめん、読めないです。』
そう。
彼は漢字で自らの名前を
送ったのだった。
2通目が来てさらに
ニヤニヤが増す。
綺麗な顔が台無しである。
そしてそのニヤニヤ顔のまま
さっきよりも高速で
打ち送信する。
そして返信がきた。
「えみりです。
登録しました。」
「ふははっ。」
断言しよう。
彼のファンが今の彼を見たら
幻滅すると。
気持ち悪い笑いを
惜しげもなく振りまいた後
屋上のお気に入り場所に
座って、
彼は記念すべき初メールを
繰り返し見た。
内容なんか
短すぎて何にも無いのに、
彼はそれを宝を
見ているかのように
幸せそうに
見つめるのであった。
断言しよう。
今の彼を見たら
さっき減ったファンの倍、
増えると。


