「なんかあった?」





ちょっとだけ。

眉間にシワを寄せながら。

郁が私の顔を覗き込んだ。





『なッ、なんでもないッ!!』





…か、か、顔ッ!!

顔が近いってばッ!!

意識したくないのに。

心臓が倍速で動きだす。





……顔、あつ……。





郁に気付かれないように距離を置く。





「……ならいいケド」





“納得いかない”。

郁の顔はそう言ってるけど。

私にもはっきりした理由なんてわからないんだよ〜ッ!!





熱い顔を冷ますため。

両手で顔を扇いだ。





「で、茜は何してんの?」





いつ来たんだか。

涼真が机を覗き込んだ。