文化祭も終わって。

校内はまたいつもと変わらない毎日が始まった。





…が、しかし。

私だけはいつもと違っていた。





『…はぁぁ…』





机の上にはノートと教科書。

参考書が広がってる。

…広がってるだけで。

私の仕事は進んでない。





文化祭の日。

郁が咲かせた赤い花はもう消えた。





でも。

授業で、廊下で。

郁を見るたびに思い出す。

郁に触れられた首筋、鎖骨、太もも。

郁が耳元で囁いた声。





…思い出すだけで。

カラダが、熱くなる…。





も〜!!私、どうしたんだ?!

…ホント、おかしい…。





「ため息吐いてるだけなら職員室か教官室行ってくださ〜い」





氷の入った涼しげなグラスをコトン、と置きながら一美が言った。





「邪魔されずにやりたいっていうからココ、貸してるのに。
さっきからため息吐いてばっかりだし。
これじゃいつもと一緒じゃない」





一美がブツブツ言った。