『……なん、で…これ……』
顔があげられない。
心臓の音が。
手の震えが。
大きくなっていく。
「自分で置いて行ったんデショ?」
『…だって、これ…』
自分で置いて行った。
“ごめんなさい”のメモ。
2つの点が線で結ばれていく。
『これは私が…ッ?!』
顔をあげると。
目の前には逢沢クンの顔。
「サクランボの茎、舌で結べるヤツはキスがうまいんだっけ…?」
そう言うと。
さっき自分で食べたサクランボの茎に手を伸ばして。
茎を口に含んだ。
そして。
「…ほら、結べた」
口を開けた舌の上には結ばれたサクランボの茎。
“ほら、結べた”
それは。
数ヶ月前にも聞いたセリフだった。
…なんで…?
なんで、逢沢クンが…。